コケムシです。
皆さん、自身のお家のお墓をしっかり調べた事はありますか?
儀等はあります。
というか骨壷を移動しなければならない事がありました。
というのも納骨堂の老朽化から、寺に移動する事になったんですね。
そこで儀等は名前も知らない先祖の遺骨を移動する事になりました。
そして、そこで日本の墓が何たるかを身を以て知りました。
実は儀等、民俗学に興味がありネットでもしょっちゅう調べて回る事があります。
だから日本のお墓事情に関してはある程度知ってました。
ですが「このタイプは初めて知ったわ・・・」と驚いたのが先祖の故郷である、山村の墓でした。
死者への手向けの印象
日本の文化では「死者に対する礼節が重視される」というイメージがあります。
代表的なものだと食前の「いただきます」や、武士の名誉死という「切腹」。
また禅(瞑想)による悟りからの「即身仏」等、死に対して達観した文化という印象を持つ人が多いです。
ですが田舎村に行けば大きく違う事が解る。
所詮人間とは知恵の付いた猿、儀等は足が生えた苔。
やることは万国共通、野生と変わらないのです。
死者に対する扱いはそれなりに粗雑で、皆さんがイメージするものがテレビの中のフィクションでしかないと思い知らされるでしょう。
ある時コケムシにお声がかかる。
それは数年前、梅雨の頃でした。
家が檀家の寺から、納骨堂の取り壊しと遺骨の移動の話が来たのです。
その時暇で御座いました、コケムシと叔父ゴケは田舎の山中に赴くのでした。
ちっさいお堂に村中の檀家さんが集まり、叔父ゴケと懐かし話をしていました。
かくいう自分は誰も知り合いが居ない中、ポツンとしてましたら。
「コケちゃんとこのお子さんね?」といきなり!
そうです、母ゴケとコケムシはエラい似とるのです!
母の幼い頃の写真は「こんな写真撮った事有った?」と大真面目に疑う程、瓜二つ・・・イヤ苔二つなのです!
解るもんだなぁ・・・
入堂
そしてしばらくして和尚が来たら皆挨拶、んで入堂。
周りには各家庭の仏壇が十数あり、上の方に家紋がありました。
不思議な事に家紋に多様性は無く、殆ど同じだった事が印象深かったですね。
その中で違いがあるのが、どなたかの九曜紋の家紋と我がコケ一族の家紋でした。
具体的には言えませんがネットで探しても完全に同じ家紋はありません。
似たようなのはあるんですけど、少々違いがあります。
和尚も「お宅の家紋は類が無いから、ちょっと困ってた。」と仮の家紋を用意してました。
儀式をあらかた終えまして、地下に置いてある遺骨を取り上げます。
そこでコケムシが目にしたのは衝撃的な現実でした。
ご先祖はなかなか金持ちだった御様子
暗い底を他の檀家さんが持ってきた超強力業務用ライトで照らしながら、やたら長い柄のついた名も知らぬ道具で骨壷を持ち上げる。
すると大きな壺がいくつか出てきて小さい壺も一つ出てきた。
おそらく水子でしょうな、乳幼児は死にやすいですから。
しかし壺の内、複数が味噌壺だったりする。
ホムセンで見た事ない? あの茶色の奴。
あれですよ。
「ご先祖は金がなかったんだなぁ・・・」
と戦前の日本の財政状況に心を偲ばせていると、他の檀家さんがなにやらスコップでザラザラと掬い上げてゴミ袋に入れてるではありませんか。
「なんだありゃ?ゴミでもたまってたのか?」
と思いよく見てみると
「人骨」
「は?」
って思った人も居ましょう。
儀等は実際に口に出ました。
しかも複数の檀家さんが人骨をスコップで掬い上げてゴミ袋に入れている。
骨壷に入った遺骨は殆ど無く、我がコケ一族のみ全ての遺骨に骨壷が備えられていました。
こういった動画を見て知ってはいましたが。
まさか骨壷もなく地下に入れられただけの納骨が常識とは知りませんでした。
「前言撤回、ご先祖は金持ちじゃ。」
山持ってるって聞いてたけど結構金持ちの百姓だった御様子。
和尚に聞いても「昔の事だから解らない。」との事で、死者にどういう念を持って扱っていたかは謎のまま。
ですがなかなか体験できないことでしたよ。
終わりに
皆さんの実家は田舎だったりしませんか?
もしかしたら納骨堂を見てみたら、「こんな扱いされるのが死者なのか・・・」と思い知らされるやもしれません。
特に日本人は前例に弱く、「昔の伝統でもこういう風にしてたならコレで良いんじゃね?」と雑に考えてしまいがちな「きらい」がある。
あなたの遺骨がどうなるかは、どう足掻いても遺族次第です。
今の内に自分の骨壷選ぶのも良いかもしれませんぞ。
終活という奴ですな。
ちなみに永代供養というのはやはり無理があるようで、廃寺の納骨堂にある引き取り手の無い骨が無造作に棄てられていたと言う事例もあります。
「全ての事象に永遠などない」
中二っぽいですが、現実を言葉にしてシメます。
あ、これその山里の川です。
トンボいたんで撮ったんですよ。
大人しい奴でしたね。